さて最後に、

 人類がうみだした最大の楽器は、肉体・声であると思う。

 言葉にもならない声の音色である。

 ささやくような、ファルセットやうめき、

 悲鳴のような、おたけびやシャウト、

 気持ちいいような悪いようなフェイク。

 俺はまず、ギターを持ち、そして、歌をうたった。

 人はまさか俺が、ナルシソ・イエペスや、セゴビアを愛してると思うまい。

 人はまさか俺が、フォースターやフォギー・カーマイケルを愛してるとは思うまい。

 しかし、そうなのだ。俺の10代の時に出会ってしまったミュージシャンが今でも俺の中で生きつづけている。

 近頃の音楽を聞いていて一言。

 ピッチの悪いボーカリストは、チューニングのできないギターリストと同じだ。

 ミュージシャン・芸人・職人とはそう言うものだ。